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【読書129】タマゾン川 多摩川でいのちを考える

タマゾン川 多摩川でいのちを考える」(山崎充哲/旬報社)


かつては「死の川」と恐れられながらも、下水処理施設の建設により清らかさを取り戻した都市河川、多摩川。
清流で名高い四万十川と同等の清流へと蘇った多摩川であるが、近年新たな問題が持ち上がっている。
それが放流される水性生物による生態系の破壊である。

「おいおい、こりゃまいったぞ。なんでアロワナが多摩川にいるんだ?」
(中略)
アリゲーターガーパイク、ノーザンパイク、グッピー、セルフィンプレコ、オスカー、ピラニア……。
ほかにもいるはずのない魚が多摩川でつぎつぎと発見されたのです。(17ページ)

多摩川で確認される魚類は多岐に渡る。南北アメリカやアフリカ、タイが原産の巨大魚達や熱帯魚達。確認された「本来、多摩川にはいない生物」は実に200種を超えるという。
これらは基本的にかつては誰かに飼われていたものだ。思いの外大きく育ち、あるいはライフスタイルの変化により飼育困難になった結果、川に放たれ定着してしまう。

「タマゾン川」はそんな多摩川の現状を揶揄した言葉である。

本書の著者は、そんな多摩川の状況に危機感を覚えて、多摩川でお魚ポストの運営を行い、多摩川生態系の保護活動に携わる。
小学校の高学年から中学生くらいが対象だろうが、大人も一緒に読んで考えてほしい。

外来種の繁殖を防ぐためには駆除が基本だが、では駆除後の個体をどうするか。
殺処分が基本であり、特定外来生物駆除者に対して支払われる国からの補助金も、殺処分することが条件になってくるという。

個人的には、持ち込まれた外来種を殺さず、里親を探すという筆者らの活動はすごく中途半端に見える。
里親とはいえ、飼えなくなる場合もあるだろう。そうなった時に打ち当たる問題は前の飼い主と同じである。捨てるか殺すか。
里親制度により、多摩川に集約していたものが、里子によって全国に散らばる。通常の販売と同じ程度には散らばるだろう。結局は、いたずらに外来種の拡散を招いているだけではないのか。

国内間外来種の話では少々矛盾も感じる。持ち込まれた元が国内にあったもの、それが国内間外来種である。
本書では国内間外来種である他のメダカの放流により、多摩川メダカが絶滅に追いやられたとしている。
一方で、マルタ(マルタウグイ)の放流の話が書かれているが、在来種が絶滅していたら、国内間外来種を放流してもいいのだろうか?

ちょっと前に問題になった、ホタルの遺伝子汚染の問題にも繋がるが、失われた品種、失われた環境が素晴らしく見えるのは、「失われたから」ではないだろうか。
覆水盆に返らず。変化してしまった環境を元に戻すことは基本的に不可能だし、戻すことが必ずしも良いこととは限らないんじゃないかなぁ。

汚染度が高いのは不愉快だから改めるににしても、変わってしまった生態系についてはもう触らずに、現場を受け入れていくしかないのではないかと思う。

ところで、特定外来生物については、新規飼育禁止、愛玩目的(研究教育目的以外)の譲渡禁止されている。
また、河川等から生きたまま運搬するためには特別に許可が必要となる。
http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/qa.html
本書の「おさかなポスト」は特定外来生物以外についてのみの運用されているのかしら?
でも、勝手に入れられたらわかんない気がするけど…。うーむ。

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テーマ:読書記録 - ジャンル:小説・文学

  1. 2014年08月14日 10:09 |
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