[insoluble] (読み:インソルブル) クロスステッチとか手芸とか料理とか写真とかバイクとか動物園とか博物館とか水族館とかが好き。読書の日記です。 よろしくお願いします。

[insoluble] 読書と刺繍日記

【読書137】赤ちゃんの科学ーヒトはどのように生まれてくるのか

赤ちゃんの科学」(マーク・スローン/NHK出版/ひたちなか市立図書館書蔵)


自分の妊娠出産をきっかけに、赤ちゃんに関する本を読むようになった。
読もうと思えば科学、医学、保育、教育はてはスピリチュアルまで、対象も母体、胎児、新生児、赤ちゃんと様々な立場から書かれた本が溢れている。
読んで終わり、でなく、その気になれば実際に観察・検証できる対象がすぐそばにいるのはいい。やはりフィードバックは大切であると感じる。

さて、本書は小児科医の立場で書かれた赤ちゃんの「誕生」の本である。
産科での実習や小児科医としての、そして出産を迎えた妊婦の配偶者としての実体験、症例や研究の紹介、歴史的経緯まで、実に様々な視点から、「出産」という一大イベントについて書かれている。

まずは出産姿勢のお話から見ていこう。
ルイ14世には覗き趣味があり特に出産の観察を好んだらしい。ルイ14世のお気に入りの出産姿勢が仰臥位(完全な仰向け)であったため、仰臥位がフランスのスタンダードになり、フランスは当時産科技術先進国であったため、仰臥位が欧州スタンダードとなっていったようである。
王様にお気に入りの出産姿勢があることをみんな知ってる状況…、ちょっと想像がつかない。公認覗き、それは覗かずにもう堂々と観察したらいいけないのだろうか?
しかし、この仰臥位に2、3の改良を加えた破石位が現在のスタンダードな出産姿勢なのだから、ルイ14世の功績は絶大である。

では、胎児はどのようにして生まれてくる瞬間を決めている(あるいは把握している)のか?
血流の微妙な変化から誕生のタイミングを計っているのかもしれない。臨月の胎盤には新生児の血液量の半分にあたる約170gの血液が保存されているが、これは胎児期は肺や肝臓、腎臓が機能しておらず血液を必要としないためであり、出産の際にこの血液が胎児体内へ移行するという。

読んでいて胎児について、あるいは、新生児のについて、書かれた書籍は山ほどあっても、「胎児が新生児に移行する」ということについて書かれているのを目にしたことがないなぁ、と思った。
では生まれた瞬間の胎児体内でなにが起こっているのだろうか?

胎児期、肺には羊水が入っている。産声を上げることで、肺胞がひとつひとつ開く。空気中の酸素は母の血液中の酸素よりも多いため新生児の血中酸素量が急上昇し、肺動脈や毛細血管がゆるむ。こうして肺への血流量が増えて肺呼吸が確立するという。
胎児期から新生児期への移行は、その情報の少なさからは信じられないほど劇的であり、ゆえに移行が上手くいかないと障害が生じてしまうことすらあるらしい。
その障害が「新生児持続性肺高血圧症(胎児循環持続症)」、胎児が誕生時に肺動脈や毛細血管の拡張ができずに生まれてくると、肺に血液が運ばれず、低酸素状態が続いて肺の血管が収縮したままになるという。
誕生の瞬間の劇的変化、その象徴が「産声」であるのはなんとも面白い。

妊娠は男性側も変化させるという。
妻の妊娠に伴い、男性の側でも男性ホルモンであるテストステロン低下と、エストラジオール(卵胞ホルモン)、プロラクチン(母乳分泌に関わるホルモン)といった女性ホルモンの上昇が見られるという研究結果が紹介されている。このホルモン変動の犯人と目されているのが女性から出されるフェロモンだとか。
実は、この部分を読む直前、里帰り出産について考えていたところだった。
里帰り出産では、妊娠の後期および出産直後の時期を妻側(場合によっては夫側)の実家で過ごすことになる。
出産直後の母子が最も庇護を必要とする期間を、新しく家族となった夫とではなく、すでに独立したはずの別家庭で過ごすこと、即ち、父子が別々に過ごすことは、その後の父子関係の形成に影響はないのだろうか?
本書の内容が事実であれば、「里帰りをしない」ことによって男性側は妊婦からのフェロモンの影響を受け続けることになり、父性を育てる可能性があると言えるかもしれない。

対象を胎児の側に戻そう。
胎児において聴覚が発達しているのはすでに一般的な話であるが、嗅覚の発達もなかなかのものであるという。未熟児の観察から、妊娠後期の胎児においては嗅神経がしっかりと機能しているらしい。

では、羊水内に肝心の匂いはあるのだろうか?

答えは「あるらしい」。
羊水には母体が摂取したものの匂いがついており、胎児は羊水を通してその匂いを感知している可能性があるという。
この記憶が誕生後の乳幼児の嗅覚的な嗜好、食文化に影響している可能性すらある、という考察は大変興味深かった。
誕生直後の新生児が母親のおっぱいを探す時に頼りにするのもまた嗅覚、という。誕生直後に使用する機能については、胎児期から訓練が必要ということなのかもしれない。

この他にも、出産経験のある女性が分娩に付き添うことでお産の質が向上する話や原始反射の話、アプガー・スコアや帝王切開の話など、出産を経験するに当たっては必ず見聞きするであろうことが様々取り上げられている。
日本ではまだそれほど市民権を得ていない無痛分娩に関しては、アメリカという国のお国柄を垣間垣間見ることができた。
妊娠後期から出産直後という非常に限られた期間を取り扱っているにも関わらず、読み応えのある良い一冊であった。

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  1. 2014年09月27日 10:12 |
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【絵本005】おつきさまこんばんわ

おつきさまこんばんは―くつくつあるけのほん4」(林 明子/福音館)


この絵本は、私の記憶にはない絵本である。

実家には180cm本棚まるまる一台分の絵本があった。
定期購読していたこどものともに科学のとも、その他母が気に入った児童文学。
三人兄弟だったので三人分のも好みに合わせて、実に大量の児童書があったのである。
賃貸に暮らす都合上、そこまでの冊数は無理にしても、できるだけたくさんの本に触れさせてあげたいとは思うのである。

絵本というのはその他の文芸書に比べるとあまり流行り廃りがないようだ。読者が入れ替わっていくからだろうか。
子供の頃に読んで記憶に残った絵本が今でも新刊で入手できる状況にあるため、つい、自分の記憶を頼りに当時からあった絵本を購入しがちである。

しかしそれだけではやはりつまらない。
時に新しいものも取り入れたくなる。

そんな気持ちで購入したのが本書、「おつきさまこんばんは」であった。

本書の内容については賛否両論あるようだ。
否のほうをみると「おつきさまを独り占めしたくて、くもさんを邪魔者扱いしている」というのである。
くもさんが可哀想だ、「譲れるような優しい子になって欲しい」という。

でもなぁ。
それってすごく子供らしい独占欲じゃないのかなぁ。
なにもかもを「はいどーぞ」で譲るのが優しいことではないし、全てがそうやって譲れるわけでもない。

どちらかと言うと我を押し付けてくることの多い「子供」という生き物を相手にしていると、譲ったり優しくすることを要求しがちだから、こうやって我が侭を通そうというのを客観的に絵本で見れるのも、悪いことばかりではないんじゃないかなぁ。

お客さんがくるとお母さんお父さんにひっついて、隠れちゃうあの感じ。
大人同士で話しているとかまって欲しくて話に入ってくるあの感じ。
なんだかとても子供らしくて可愛らしい。

肝心のお月様は、くもさんにも主人公にも、なにも言い訳もせずに、ただ微笑んでいるのである。

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  1. 2014年09月24日 10:52 |
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【読書136】おっぱいの科学

おっぱいの科学」(フローレンス ウィリアムズ/東洋書林/ひたちなか市立図書館書蔵)


乳房を前にすると大のおとなも赤ん坊並みに頭がぼんやりしてしまう。(6ページ)

そう、乳房、乳、おっぱい。
みんな大好き、おっぱい。
おっぱいにまつわるあれやこれや。豊胸手術、母乳育児、中でも一番大きなテーマは化学物質と乳ガンだろうか。

●フタル酸エステル乳ガンのリスクをたかめる。
●ネスレは代理乳(いわゆる粉ミルク)から始まって世界企業になった。
●アカゲザルの母親は息子に対しては脂肪分の多いミルク、娘に対しては息子よりも多量のミルクをつくる。
●母乳には、800種もの細菌と、特殊な難消化性遊離オリゴ糖が含まれている。これらが授乳により乳児へ移行して、乳児の腸内細菌となる。

この他、個人的に一番面白く読んだのは臭素系難燃剤の件。
これらはEUのRoHS指令では含有が禁止されている物質である。
このため実務として含有調査、不含有保証の取得を行っていたのだけど、「発ガン性有り」と文字では知っていても、実症例や発覚のきっかけなどを知る機会はまず無いので、感慨深い。
アメリカの現状に触れられているが、ヨーロッパ各国での歴史や背景も気になった。
タイトルは「おっぱいの科学」となっており、ホルモン、乳ガン、母乳成分、など科学的な内容が紹介されてはいたものの、なんとなく語り口があんまり「科学」という感じじゃないなぁ、と思って読んだ。
原題は「BEASTS a natural and unnatural history 」で「おっぱいの自然史、不自然史」だろうか。原題の方がしっくりくる。

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  1. 2014年09月22日 10:46 |
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【読書135】パピヨン

パピヨン」(田口ランディ/角川学芸出版/ひたちなか市立図書館書蔵)


すごく久しぶりの田口ランディさん作品。

スイス生まれの異端の精神科医、エリザベス・キューブラー・ロス。終末医療の先駆者でありながら、霊的な思想家であったため、医科学の世界を追われた人物である。
ロスのみた蝶を追う、という思考文が本書の半分の柱。

そしてもう半分は実父を看取ること。

実父の骨折をきっかけに発覚した癌。すでに肝臓への転移が見られ、医師から宣告された余命はわずか半年。
アルコール依存症でもある実父は、アルコールの解脱症状が激しく、整形外科を強制退院になってしまう。
癌、アル中、骨折、そして精神錯乱。専門病院でも総合病院でも断られ、どうにか精神病院へ転院、小康状態に落ち着くも癌の進行は止まらず。本人への告知、そして最期はホスピスへ。

軽く文章にまとめただけでも壮絶である。これがわずか半年の出来事なのだ。わが身に降りかかったら修羅場としか言いようがない。

骨折をきっかけに癌が発覚したこと。
アルコールの解脱症状により整形外科を強制退院になったこと。
最期の時をホスピスで迎え、看取る側も看取られる側もある程度の納得を得られたようなラストシーンだからだろうか。ネガティブな状況ばかりなのに、巡り合わせの妙を感じてしまう。

ロスの部分は除いて、純粋に父を看取る話として読みたかった。
私の嗜好の問題もあるんだけど、父を看取るという終末医療に関わるテーマと、ロスに思いをはせつつ死を把握するテーマがなんとなく絡んでいなくて、後者がうまく飲み込めない。

終末医療に関する部分は、万人に勧められる可能性も感じるだけに、非常にもったいない。

そもそも田口さんの作品は日常にスピリチュアルが融合しているイメージがある。本作でもスピリチュアルな部分は重く健在だった。
実は私、オカルトなら大好きなのだけど、スピリチュアルな話は苦手。
なんとなく田口さんの作品から遠ざかっていたのはそんな自分の嗜好に気づいたから。久しぶりに読んでもやっぱりスピリチュアル部分がネックになってしまった。

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  1. 2014年09月20日 10:53 |
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【絵本004】いないいないばぁ

いないいないばあ」(松谷みよ子/童心社)


赤ちゃん用の絵本、と考えた時に真っ先に思い浮かんだのが本書だった。
でも、自分では買うまい、と思っていた。

絶対、どこかで誰かから頂ける気がしたから…!w

私自身、読み聞かされたし、夫の実家にもまだ残っていたし、以前住んでいた市のブックスタートで頂ける絵本も本書。(引越してしまったので頂けなかったのだけど)
それだけ有名で、定番で、おそらく子どもの反応がいいのが本書なのだろう。

そんな評価の高い本書だけど、読み聞かせを始めた当初は案外薄い反応でした。
あまりに興味がなさそうなので、しばらく触ってもいなかった。

反応が変わってきたのは生後五ヶ月をすぎて、いないないばぁで笑うようになった最近のこと。
いないないばぁで笑っているからひょっとして、と思って読んでみたら「いないないばぁ」の台詞で大爆笑でした。
やっぱり読み聞かせも、発達にあわせて、適切な月齢があるんだね。

なお、「いないないばぁ」遊びで赤ちゃんが笑っているのには
(1) あれ?いない?あ、いたーー!!
(2) 隠れてたって分かるよ?どうせそこにいるんだろ?ほらいたー!
という2パターンがあると聞いたことがあるのだけど、果たしてどちらだろうか。
言葉が話せたら、どんな気持ちか教えてほしい。

ちなみに、結局、というか案の定、実家から一式セットで頂きました。

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  1. 2014年09月19日 09:13 |
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